それでも君をまもれるか2
(CP:スパ→アン←リカ)
それでも君を、まもれるか
「スパーダ君」
宿で食事を済ませたあと、ひとりもう日も沈んだ暗闇の中、宿の外で空を眺めている彼に声をかける。
彼はぴくりと反応してこちらを振り向くと、自分の名前をぽつりと呟いた。
「・・・アンジュ」
「どうしたの?こんなところで」
「いや・・・なんか外にいたくなったからよ」
「ふぅん・・・」
空を眺め座り込む彼の横に自分も「よいしょ」と座り込む。
星空はきらきらと綺麗だった。儚げにでもはっきりと光るそれは、何故か胸をざわつかせた。
「アンジュこそ何しにきたんだよ?」
「だってスパーダ君、ひとりなんだもん」
「・・・・・・・・」
「お昼のことなんだけどね」
「あれは悪かったよ」
「ううん、違うの。あれわざと前に出てきたんでしょ?違う?」
「・・・・・・・・・・・」
「うっ」っと詰まったような声を短く上げて、スパーダはふいっと視線を逸らしてしまった。これでは認めていると言っているようなものだ。
「・・・・・オレはまだまだだ」
「スパーダ君?」
「オレはオレのために、オレがまもりたいモノのためにもっと強くなりたい」
「・・・・・・・・」
「ぜってぇアイツなんかに負けてたまるか」
「アイツ?」
ぶつぶつと呟くスパーダに、アンジュは彼の言う「アイツ」が誰だか見当がつかなかった。
誰のことを言っているのか、と考えをめぐらせていれば、スパーダは悔しそうに大声を上げた。
「・・・ったく、ちくしょー!けど、嫌いになれねぇんだよなぁっ!オレとは違って全体見てやがるし・・・」
「スパーダ君?一体“アイツ”って誰のこと・・・」
「アンジュ!ハグしていいか!?」
「ダメです」
しょぼんっと頭垂れるスパーダを、アンジュは首を傾げながら見つめるしか出来なかった。
end