それをプレゼントにしようと思ったのは多少なりとも下心があったからかもしれない。
偶然通った店のショーウインドウに飾られた真白いワンピース。胸元の薔薇のコサージュだけが飾りのシンプルなそれは、彼女に似合いそうだと思ったのだ。

「ホワイトデーだからな」

と、それを渡せばセレーナは少し驚き、それから嬉しそうに笑った。綻ぶような笑顔に思わず釣られてこちらも口の端が上がってしまう。

「普段はあまりこういう服を着ないので嬉しいです」

ありがとうございます、リカルドさん。深々とセレーナは頭を下げると、服を自らの身体に宛て、くるりと回った。女に服を贈ったのは初めてなので多少不安はあったのだが、どうやら彼女のお気に召したらしい。こうしているのを見ると俺の目には童顔とあいまって歳相応より幼く映った。あまりに無邪気に喜ぶものだから。
ふと、そんなセレーナに悪戯心が湧く。

「セレーナ」

鏡の前で自分と見つめ合う彼女を呼ぶと、彼女は上機嫌に「なんですか」とこちらを向いて返事をする。顔には相変わらずの笑顔だ。
俺はセレーナの腕を引き寄せると、バランスを崩しかけた華奢な身体を抱き寄せた。きゃあ、と小さな悲鳴と共に腕の中に納まるセレーナに、囁く。

「知っているか?男が女に服を贈るのは──


……女が着た服を脱がすためだそうだ」

セレーナの頬が瞬時に赤く染まった。

「リカルドさんのえっち!!」

叫んで俺の腕から逃れようとするセレーナを強く抱き、腰を撫で上げる。びくりと身体を跳ねさせるセレーナに意地の悪い笑いが零れてしまった。

「冗談だ。何もしない」

開放してやればその瞬間、力いっぱいの平手打ちを貰ってしまった。

(もう!リカルドさんの馬鹿!)

(少しからかい過ぎたか……)



END
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携帯サイトで相互させていただいている「Ideale」の霜月さんからホワイトデーフリーで持って帰ってきました!
おせおせリカルドが妙にへんたいでいいです。たじたじアンジュが可愛い・・・
ええ、へんたい大好物ですよ(へんたい)
私はいまのところこんなリカルドがかける自信がありません・・・(なんの自信)

素敵な霜月さんのリカアン(スパ→アンなども)サイトはこちら!
Ideale